
ネットワークエンジニアという仕事の年収は低いのでしょうか、それとも高いのでしょうか。派遣社員の場合、未経験でも時給2,000円を超える案件があります。経験者であれば時給3,000円も珍しくありません。
この記事では、現役のネットワークエンジニアである私が、ネットワークエンジニアの年収と派遣の時給相場、そしてなぜ高時給なのかを解説します。
あわせて、正社員・派遣・フリーランスの働き方の違い、女性や未経験からネットワークエンジニアになる方法もご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
ネットワークエンジニアの年収はいくら?
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には、「ネットワークエンジニア」という職業がそのままの名称では存在しません。仕事の内容によって、2つの職業分類にまたがっているためです。
| 職業分類 | 該当する仕事 |
|---|---|
| 電気通信技術者 | 通信キャリアや通信建設事業者での、通信インフラの設計・工事・運用保守 |
| システムエンジニア(基盤システム) | 企業のITインフラの設計・構築。インフラエンジニアとも呼ばれる |
日本標準職業分類では、ネットワークエンジニアは「通信ネットワーク技術者」に分類され、これに対応するのが電気通信技術者です。
一方、企業内ネットワークの設計や構築を担当する場合は、システムエンジニア(基盤システム)の仕事内容に近くなります。
両方の統計を見ておきましょう。
電気通信技術者の年収
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年収 | 609万8,000円 |
| 平均年齢 | 42.2歳 |
| 労働時間 | 月160時間 |
| 1時間あたりの賃金 | 2,954円 |
| 就業者数 | 207,400人 |
| 有効求人倍率 | 3.88 |
| 派遣社員の割合 | 3.3% |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)電気通信技術者
有効求人倍率3.88は、1人の求職者に対して約4件の求人がある状態です。全職種の平均を大きく上回ります。人手が足りていない職種だということが、統計からも読み取れます。
システムエンジニア(基盤システム)の年収
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年収 | 889万円 |
| 平均年齢 | 38.3歳 |
| 労働時間 | 月173時間 |
| 1時間あたりの賃金 | 4,026円 |
| 就業者数 | 656,770人 |
| 有効求人倍率 | 2.24 |
| 派遣社員の割合 | 11.4% |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)システムエンジニア(基盤システム)
こちらは派遣社員の割合が11.4%と、電気通信技術者の3.3%より高くなっています。企業のITインフラを扱う仕事のほうが、派遣という働き方が一般的だということです。
年収・年齢・労働時間は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和7年度のハローワーク求人統計にもとづく数値です。1時間あたりの賃金は残業代と賞与を含む一般労働者の換算値です。
スキルレベル別の年収
システムエンジニア(基盤システム)には、ITSS(ITスキル標準)のレベル別の年収も公開されています。設計・構築を担当する場合の数値です。
| スキルレベル | 年収 |
|---|---|
| ITSSレベル1〜2 | 420〜620万円 |
| ITSSレベル3 | 450〜700万円 |
| ITSSレベル4 | 500〜780万円 |
| ITSSレベル5以上 | 600〜950万円 |
金額は第一四分位から第三四分位の範囲です。
レベルが上がるごとに年収の下限が確実に上がっています。ネットワークエンジニアはスキルを積むほど収入が伸びる職種だということが、国の調査でも確認できます。
2つの統計を合わせて見ると、ネットワークエンジニアの年収はおおよそ600万円台から、担当する範囲やスキルレベルによってはそれ以上、という水準です。派遣社員として働く場合の実際の金額は、次の章の時給相場が参考になります。
派遣で働く場合の時給相場と単価設定
派遣のネットワークエンジニアの時給相場は、経験年数によって次のように変わります。私自身の経験と、求人サイトで見てきた案件をもとにした目安です。
| 経験年数 | 時給の目安 |
|---|---|
| 未経験 | 1,400〜2,000円 |
| 経験1〜2年 | 1,600〜2,300円 |
| 経験3〜5年 | 2,000〜3,000円 |
事務職や販売職と比べても高い水準です。実際の案件でイメージをつかんでいただければと思います。
未経験から応募できる案件
サーバー・ネットワーク機器の監視業務です。ネットワークが問題なく稼働しているかをチェックします。慣れてくると、トラブル対応やユーザーへの報告も任されるようになります。
独学で勉強したことがある人向けの案件
ネットワークの構築支援業務です。最初はパラメータテストや検証作業から始まり、その後、自分で手を動かしてネットワークを構築できるエンジニアを目指します。
未経験でも応募できますが、CCNAを保有している人が対象になることが多いです。
経験を積んだあとの案件
上流工程の設計や、エンドユーザーと折衝するフロントSEの業務です。月収50万円台も見えてきます。
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアは、回線インフラまわりの業務を担当します。仕事は大きく4つに分かれます。
- 監視:ネットワークが異常なく稼働しているかチェックする
- 運用:ネットワークを問題なく稼働させる
- 構築:指示書に沿ってネットワークを構築する
- 設計:エンドユーザーの希望に沿ってネットワークを設計する
監視から運用、構築、設計の順にステップアップしていくのが一般的です。未経験の場合は運用か監視からスタートすることが多く、1〜2年経験を積めば構築や設計への移行も可能です。
前章で見たとおり、この職種で派遣社員として働く人の割合は3.3〜11.4%です。正規雇用が中心の職種であり、派遣は少数派になります。裏を返せば、派遣の求人に対して応募者が集中しにくい状況とも言えます。
派遣の時給が高い5つの理由
なぜ派遣のネットワークエンジニアは高時給なのか、理由を5つお伝えします。
理由1:専門職の給与テーブルが適用される
ネットワークエンジニアは、未経験であっても「エンジニア」として就業します。仕事内容が一般事務と大きく変わらない場合でも、給与テーブルそのものが異なります。
厚労省の統計でも、電気通信技術者の1時間あたりの賃金は2,954円です。未経験からこのテーブルに乗れることが、高時給につながっています。
理由2:就業先が大企業に偏っている
ネットワークエンジニアの就業先は大企業が中心です。KDDIやNTTなどの通信会社、CTC(伊藤忠系列)やIHIなどでも求人がよく出ています。
派遣社員の時給は派遣先によって変わり、傾向として大企業のほうが高くなります。大企業に派遣されることの多いネットワークエンジニアは、時給も高くなりやすいのです。
大企業への就業は難しいと考える方もいますが、規模が大きいほどポストの数も多く、その中には高いスキルを求められないポジションも含まれます。未経験や経験の浅い段階でも、大企業に就業できる可能性は十分あります。
理由3:スキルアップとともに時給が上がる
事務職として3年勤務しても、時給を500円上げるのは簡単ではありません。ネットワークエンジニアなら可能です。理想的なキャリアの進み方の例を挙げます。
1年目 時給1,400円 ネットワークの監視業務
2年目 時給1,600円 職場でサブリーダーになる。CCNAを取得
3年目 時給2,100円 業務経験をもとに同業他社へ転職
5年目 時給2,800円 CCNPを取得後に再度転職。ネットワーク構築を担当
このあとは正社員として転職する道も、フリーランスになる道もあります。経験があれば大企業への正社員転職も可能です。
前章で紹介したITSSレベル別の年収を見ても、レベルが上がるごとに下限が確実に上がっています。スキルが収入に反映されやすい職種だということです。
理由4:需要が増え続けている
ネットワークトラフィック量(通信量)は年々伸びています。通信量が増えればネットワークの増強が必要になり、求人も増えます。
有効求人倍率が3.88という数字は、この需要の高さを裏づけています。1人の求職者に対して約4件の求人がある状態です。
理由5:志望する人が少ない
ネットワークエンジニアを志望する人は、そもそも多くありません。これは現役として強く感じるところです。
まず、女性のネットワークエンジニアがほとんどいません。男女比はどの職場でも9対1程度です。
次に、「ネットワークエンジニア」という職業を知っている人が少ないという事情があります。エンジニアを志望する人はまず開発系を考えます。アプリ開発やWebエンジニア、システム開発の人気が高く、ネットワークエンジニアが選択肢に上がるのはその後です。
人生の中でネットワークエンジニアになるルートが少ないため、就業人口が増えません。就業者数は全国で約20万7,000人にとどまっています。
時給を上げる3つの方法
私の経験から、派遣のネットワークエンジニアが時給を上げる方法を3つお伝えします。
方法1:できる業務を増やす
職場での働きが上長に認められると、昇給につながることがあります。
- 現場のリーダーを任された
- トラブル対応を一人でこなせるようになった
- 業務改善を積極的に提案している
このような場合は積極的にアピールしましょう。職場によっては「一人で対応できるようになれば時給一律200円アップ」といった基準を設けているところもあります。
方法2:資格を取得する
CCNA、CCNP、ネットワークスペシャリストなどの資格を取ると、時給が上がる場合があります。能力を派遣先が認めてくれるためです。
派遣会社によっては「資格取得報奨金」として2〜10万円程度の手当が出るところもあります。
方法3:派遣先を変える
派遣先を変更すると、時給が上がるケースが多くあります。特に大きく上がるのは次の場合です。
- 保守・運用から構築にステップアップした場合
- 派遣元から依頼されて職場を移る場合
- 未経験から始めて1年が経過した場合(経験者として扱われるため)
私は時給を上げるために「転職をちらつかせる」「上長と仲良くなる」といった手段も試しましたが、効果はありませんでした。時給を上げる方法は正攻法しかないというのが結論です。
正社員・派遣・フリーランスの違い
ネットワークエンジニアの働き方は3つに分かれます。現役として3つとも見てきた立場から、それぞれの特徴を整理します。
| 正社員 | 派遣社員 | フリーランス | |
|---|---|---|---|
| 収入 | 安定するが伸びは緩やか | 時給制。経験で上がる | 最も高い。月60万円以上も可能 |
| 雇用の安定 | 高い | 3か月更新が基本 | プロジェクト単位。最も不安定 |
| 業務範囲 | 広い。担当外にも駆り出される | 限定的。指示された業務のみ | 契約した範囲 |
| 教育・研修 | 充実。資格手当も多い | 基本的に自学自習 | ほぼない |
| 社会保険 | 会社と折半 | 会社と折半 | 全額自己負担 |
| 職場の変更 | 転職のハードルが高い | 契約更新のタイミングで可能 | 案件ごとに変えられる |
正社員の特徴
3つの中で最もスキルが伸びるのが正社員です。座学研修、OJT、チューター制度など教育の仕組みが整っています。資格取得の報奨金も手厚く、私が以前いた会社ではCCNAで月1万円、CCNPで月3万円、CCIEで月8万円の手当が2年間付きました。
一方で業務範囲があいまいになりがちです。改善案や報告書の作成といったバックオフィス業務は正社員が担当することが多く、担当外の作業に駆り出されることもあります。深夜に行うネットワークの更改作業もそのひとつです。
人事評価のための書類作成も負担になります。月報、四半期報告書、半期報告書、年間報告書といった提出物があり、業務目標を数値化しにくいネットワークエンジニアにとっては書きづらいものです。
派遣社員の特徴
対応する業務の範囲が限定的で、他現場のフォローや担当外の手伝いに回されることはありません。応募の段階で何をするのかが明確になっているのも特徴です。
「官公庁向けネットワークの構築」「金融機関向けネットワークの運用・保守」といった形で、担当したい業務にピンポイントで応募できます。
給与は時給制のため、意味のない残業が発生しません。飲み会への参加や目標設定に振り回されることもなく、3つの中で最も生活との両立がしやすい働き方です。
職場を変えやすいのも利点です。3か月契約が基本なので、合わない人がいれば次の更新で職場を変えられます。監視から運用、構築へとステップアップするために職場を移る、という使い方もできます。
デメリットは雇用の不安定さと、成長が自分次第になることです。私の職場には派遣社員が約30人いましたが、目に見えてスキルアップに取り組んでいたのは2人でした。強制力のない状態での自学自習は、思っている以上に難しいものです。
フリーランスの特徴
収入は3つの中で最も高くなります。経験年数別の月単価の目安は次のとおりです。
| 経験年数 | 月単価の目安 |
|---|---|
| 経験なし | 35〜50万円 |
| 経験1〜2年 | 40〜65万円 |
| 経験3年程度 | 50〜70万円 |
| 経験5年以上 | 60〜80万円 |
3年以上の経験があれば月60万円を超えることは難しくありません。
案件を自分で選べる点、職場の変更が容易な点も利点です。3年で5社を経験していても、正社員や派遣社員のように転職回数を気にされることはありません。スキルシートに「5つのプロジェクトにアサイン」と書くだけです。
一方で、就業の不安定さは受け入れる必要があります。プロジェクト単位の契約が多く、完了と同時に終了します。次の案件が決まらず空白期間ができることもあります。企業の業績が悪化した際は、フリーランス、派遣社員、正社員の順に人員調整の対象になります。
教育を受ける機会もほぼありません。企業はフリーランスを育てるつもりで発注していないためです。年金や健康保険も全額自己負担で、手続きも自分で行う必要があります。
なお、ネットワークエンジニアのフリーランス案件は、出社が前提のものが大半です。セキュリティ上の理由から、リモートワーク可の案件は全体の1割程度にとどまります。
年齢・状況別のおすすめの働き方

新卒:正社員を目指す
新卒であれば正社員としての就業を目指しましょう。日本企業は、経験のない若手を育てる仕組みを持っています。新卒での入社は、ネットワークエンジニアを志す人にとっても有効な入口です。
通信系のシステムインテグレーターや大手SIerに入社できれば、その後のキャリア選択で有利に働きます。
30歳・未経験:派遣社員から始める
30歳から未経験でネットワークエンジニアに挑戦するなら、派遣社員をおすすめします。すぐに経験を積めるためです。
ネットワークエンジニアの業務は幅広く、要件定義や構築のようにスキルを必要とするものもあれば、監視や運用のようにそこまでスキルを求められないものもあります。後者であれば未経験からでもアサインされやすく、実務経験を積む入口になります。
派遣社員として1〜3年勤務すれば、正社員への転職やフリーランスへの転身も見えてきます。
正社員で経験3年以上:フリーランスも選択肢に
正社員としての経験が3年以上あるなら、フリーランスも視野に入ります。経験とスキルのあるネットワークエンジニアは需要が高く、月単価60万円は十分に狙える水準です。
ただし前述のとおり、収入と引き換えに雇用の安定と教育の機会を手放すことになります。自分で学び続けられるかどうかが判断の基準になります。
女性にもネットワークエンジニアはおすすめ

女性にも派遣のネットワークエンジニアはおすすめです。理由は3つあります。
高時給で就業できる
未経験であっても、女性であっても、同じ給与テーブルが適用されます。
事務職への転職がしやすくなる
企業はITに強い人材を常に求めています。事務職でありながらITが分かる人は、幅広く職を選べます。通信会社やソフトウェア会社では特に歓迎されます。
エンジニアを経験するとPCスキルが格段に上がります。Excelのスキルも、事務畑を歩むよりずっと速いスピードで伸びていきます。
出産・子育てからの復職がしやすい
エンジニア経験のある人は求人の選択肢が豊富です。週3日勤務や1日5時間勤務に対応する会社も増えました。復職の際に、幅広い選択肢から仕事を選べます。
未経験からネットワークエンジニアになる方法
未経験から始めるなら派遣社員がおすすめです。給料が高く、門戸が開かれているためです。
ネットワークの知識が一切なくても、ネットワークエンジニアになることは可能です。PCの基本操作さえできれば、あとは現場で学べます。そこから自学自習を積み重ねれば給料は上がっていきます。派遣で時給3,000円、フリーランスで月単価70万円も現実的な目標です。
ネットワークエンジニアにおすすめの派遣会社4社
未経験から経験者まで、ネットワークエンジニアの求人を扱う派遣会社を4社ご紹介します。
大手企業、特に通信会社の案件が豊富です(KDDI、NTT、ソフトバンク系)。マージン率が他社と比べて低く、その分、派遣社員の時給が30〜50円ほど高くなる傾向があります。
業界大手のため、選べる就業先が豊富です。5人同時入社の職場、OJTがしっかりしている勤務先、日勤のみの運用監視、座学研修がある職場など、条件を絞って選べます。
エンジニア専門の派遣会社です。求人数が多く、経験者がステップアップする際の選択肢になります。
時給は高いものの、未経験であっても求められるスキルは高めです。CCNAを保有している程度のレベルが目安になります。PCスキルが高ければ、未経験でも検証業務からキャリアを始められることもあります。
私も過去にスタッフサービスから紹介を受けて職場見学まで進みましたが、求められる水準が高く、お断りしたことがあります。向上心のある方に向いている派遣会社です。
未経験向けの選び方はネットワークエンジニアが未経験でおすすめ派遣会社3選でも解説しています。
まとめ
ネットワークエンジニアの年収と、派遣で働く場合の時給相場を解説しました。
厚労省の統計では平均年収609万8,000円、有効求人倍率3.88という数字が出ています。人手が足りておらず、未経験からでも入りやすい職種です。
派遣社員であれば、業務範囲が限定的で生活との両立もしやすく、時給も事務職より高い水準から始められます。そこから経験を積んで、正社員やフリーランスに進む道も開けています。
ネットワークエンジニアはやめておけ、もう先がない、という声を聞くこともあります。しかし日々働きながら情報を追っている立場からすると、そうは思いません。通信量は増え続けており、求人倍率もそれを裏づけています。
高時給に甘んじて学ばないままでいると、そのつけは後から返ってきます。この記事を参考に、派遣のネットワークエンジニアという選択肢を検討していただければ幸いです。
派遣会社選びから比較したい方は派遣会社おすすめランキングもあわせてご確認ください。
今後の検討事項 「ネットワークエンジニア やめとけ」は volume 700・TP800・KD0 で、本記事が狙う「年収」(volume 800・TP350)より流入の見込みが大きいキーワードです。以前この名称の記事があり現在は /haken-osusume/ へ301されていますが、単独記事として作り直す価値があります。

